ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~
5 ドタバタ3連休!! 前編
‐5‐
テストを無事に終え、土曜日になった。
今日は青山と二人で出かける日。
「結城!!」
慌てた顔の青山が、遠くから走ってくるのが見えた。
「わりぃ、遅くなった」
待ち合わせは10時半だったのに、青山が来たのはその30分後。
「少し遅れる」とメールはもらっていたけど、駅前に一人で居るのは結構ツラかった……。
「もう帰ろうかと思ったよー」
「ごめんごめん。 昨日寝られなくてさぁ……で、気付いたらなんと待ち合わせ時間!! ほんっと悪かった!!」
深々と頭を下げる青山の髪の毛は寝癖がついたままで、着ているシャツのボタンも1個ずつズレてる。
まるで漫画の中の登場人物みたい。
こんなことやる人、本当に居るんだなぁ。なんて思いながらボタンを指差すと、青山は少し照れたように笑ってシャツを直した。
「じゃ、行くか!!」
「うん」
差し出された手を握り、並んで歩き出す。
「そのままカラオケでいい?」
「うん、いいよー」
他に行きたい場所も見つからず、私たちはそのままカラオケ屋さんに向かうことに。
「あれ? 青山くんが女の子と来るなんてめずらしー。 ていうか初めてじゃない? 彼女さん?」
「まぁね。 邪魔したら谷本さんでも許さないよ?」
「あはは、お客様の邪魔はしませんよー」
「だといいんだけど」
受付に居た20代の女性店員と仲良く話しながら、青山は慣れたように受付を済ませる。
「じゃ、ごゆっくり〜」
ニコニコ笑う店員さんに頭を下げ、先に歩いていった青山を追う。
「青山って、店員さんと仲が良いんだね」
「あー、しょっちゅう来てるから名前覚えられたし、俺も覚えた」
「なるほどー」
そんなことを話しながら、2階の角の部屋に入る。
わ……予想してたのより狭い。
今日はこの部屋で二人きりなんだと思ったら、やっぱり心臓がドキドキと鳴る。
でも青山はそんなことは全然気にしないで、私から離れた席に座って曲を選び始めた。
「よっしゃ、歌うべ」