ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~
ドキ……と心臓が鳴る。
「……楽しい、と思う。 たまにウザいけどね」
「お前なぁ……そこは嘘でも“凄く楽しい!!”って言っとけよー」
「あ、ごめんっ……」
「まぁ、今は楽しそうだからいいけどな」
ニコッと笑う温かな瞳に、鼓動はますます速くなる。
……前は、青山が近くに来るだけでウザいし面倒くさいって思ってたけど、やっぱり今は、楽しいと思える。
数日間で、青山に対する気持ちはずいぶん変化した。
「……俺さ、結城のこと1年の時から好きだったんだ。
一目惚れってやつ。 まさか良太郎もお前に惚れるとは思わなかったけどな」
そう言いながら、氷しか残っていないグラスをストローでぐるぐるとかき回す。
良太郎……って、犬飼くんだよね。
村雨くんも犬飼くんのことを「良太郎」って呼んでたけど、青山も学校以外では「良太郎」って呼んでるのかな?
普段は言い合いばっかりしてるけど、犬飼くんを名前で呼んだ青山の目は、とても優しくて温かい。
「1年の時、結城にいっぱい話しかけて“俺”に気付いてもらおうと頑張ってた。
ウザいキャラでもいい。 結城に俺の名前を覚えてもらえるならそれでいい。 そう思ってたんだよ」
……そうだったんだ。
そんなこと、全然知らなかった。
私の中での青山は、本当にただのウザい奴で……静かな学校生活を邪魔するイヤな奴としか思ってなかった。
「……ごめんね。 私、青山の気持ち全然知らなくて……」
「いいよ、今は気付いてもらったし。
それに、学園祭で“好きかもしれない”って言ってもらえて、すげー嬉しかった。
結城の近くに居ていいのかなって思えて、最高に嬉しかったんだ」
嬉しそうな顔が、どこか寂しそうなものに変わる。
「だけど……俺ってさ、『猪突猛進』っつーの? 思い立ったらひたすら突っ走っちまうような馬鹿な奴だからさ、お前に迷惑ばっかりかけてきたよな」
ポリポリと頬っぺたを掻いて、視線を逸らす。
「色々ごめんな? 俺、この先もずっと迷惑かけていくかもしれないけど……。
でも、結城が俺のそばに居てくれたら嬉しい。 俺の隣に居てくれたら嬉しいって、ずっと思ってる」