ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~
6 ドタバタ3連休!! 後編
‐6‐
翌日。
私は一人、犬飼くんの住むアパートへと向かっていた。
時間は11時。
【 今アパート近くのスーパーに居るんだけど、何か欲しいものとかある? 】
昨日村雨くんと行ったスーパーに入り、犬飼くんにメールを送る。
……結局、村雨くんとはあれ以来やり取りをしていない。
私がメールすれば返事をくれるだろうけど、メールすること自体が怖かった。
ブー ブー ブー
……あ、犬飼くんからの返事だ。
【 肉。 】
え、肉って……昨日倒れちゃったのに、今日すぐに食べる気?
ていうか、あんまりお金持ってきてないから、お肉を買うとなるとちょっとキツいんだけど……。
♪〜♪〜♪〜
わっ……犬飼くんから電話だ!!
「もしもしっ?」
『あ、奈央ちゃん? 今から行くからちょっと待ってて』
「え? あ、ちょっと……」
……切れちゃった。
今から行く、って……昨日はかなりツラそうだったのに、大丈夫かな?
心配しながら、お肉売場で待っていたら……キョロキョロと辺りを見回しながら、伊達メガネをかけた犬飼くんがやって来た。
「犬飼くん」
「おー、お待たせー」
なんだかもう、すっかり元気そう。 と言っても、強がる人だから多分また無理してるんだろうな……。
「病人なんだから、寝てなきゃダメだよ? 明日からまた学校なんだし」
「わかってるけど、もう少ししたらさゆが来るんだ。
だから、今だけは奈央ちゃんと二人で買い物したいなぁって思ってさ」
「あ、小百合ちゃん今日も来るんだ?」
「うん」
……そっか。 小百合ちゃんが来るなら、私が来る必要なんてなかったかも。
私に出来ないようなことでも、小百合ちゃんならきっとすんなりやってのけてしまう。
そんな気がするから、私が来なくても平気だったかも。 なんて考えていたら……犬飼くんはにっこり笑って手を握った。
「昨日のこと、啓介から聞いてるよ」
「え? そう、なの……?」
「うん、昨日の夜に啓介がウチに来て、色々話してくれた。
俺もね、さゆと自分を比べるなんて無意味なことだって思うよ」
……無意味なこと、なのかな……。
なんでも出来ちゃいそうな小百合ちゃんと、何も出来ない私……。
一緒に居たらついつい比べちゃうし、「なんで私なの?」ってことも思っちゃう。
無意味だって言われても、どうしても考えちゃうよ……。
「ま、とりあえず買い物して部屋に帰って、それから色々話そうか。
ここではあんまり詳しくは話せないしね」
「あっ、うん……」
私の手から買い物カゴを取った犬飼くんは、次から次へと牛肉を入れていく。
それから野菜コーナーに行って、玉ねぎの袋を3つと紅ショウガもカゴに入れる。
この材料で出来るのは……。
「実はさ、昨日から牛丼食べたかったんだ」
……やっぱり、牛丼だよね。