ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~


荷物を玄関に置いて、靴を脱ごうとした時……。


「お兄ちゃん!!」


部屋の奥から、怒ったような顔で小百合ちゃんがバタバタとやって来た。


「病人なんだから、ちゃんと寝てなきゃダメでしょ!!」

「えー? もう平気だよー」

「そう言っていつも強がって、また倒れたらシャレにならないんだからね!!」

「はいはい、わかったわかった」


頬っぺたを膨らます小百合ちゃんの頭を、犬飼くんはなでなでしながら笑ってる。
小百合ちゃんは恥ずかしそうにしながら犬飼くんから離れるけど、犬飼くんは全然気にしないでニコニコ笑ってる。


「さゆー、ご飯炊く準備して? 今から俺特製の牛丼作るから」

「うわ出た、牛丼馬鹿っ!!」


……妹の小百合ちゃんが呆れるくらい、犬飼くんは牛丼が好きらしい。


「病み上がりなんだから自重してよ?」

「うわ出た、啓介の真似っ!!」


そんなことを言いながら二人は笑い合い、私もついつい、笑ってしまった。

犬飼くんみたいなお兄ちゃんと、小百合ちゃんみたいな妹。
どっちも欲しいなぁ。 なんて思いながら、いつまでも笑い合っていた。


< 173 / 266 >

この作品をシェア

pagetop