ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~
その後、犬飼くんと小百合ちゃんがキッチンに立ち、私は一人で部屋の隅に座った。
私、昨日も今日も何もしてないなぁ……。
来た意味なんてほとんどないかも。 と苦笑しながら、携帯を開く。
……昨日の村雨くんからのメールを、もう一度見つめる。
“俺も苦しい。”
その言葉は、凄く重い。
村雨くんの気持ち全てが、そこにある……。
「奈央ちゃん」
「あっ……」
ひょい、と顔を出した犬飼くんがそのまま近づいてくる。
「あとはさゆがやってくれる。 俺、“一応”病人だから休憩ー」
「そっか」
「もしかして、啓介からのメール見てた?」
「あ、うん……」
犬飼くんは、このメールのことも村雨くんから聞いてるのかな?
「啓介がこんなに色々話すなんて、それ自体少ないからビックリしたでしょ?」
「……うん。 でも、煮え切らない態度を取っているのは私で、みんなに迷惑かけてるのも私……。
村雨くんを苦しめてたなんて、全然知らなくて……だから、私が居なきゃこんなことにはならなかったのかなって思っちゃう。
私が居なければ、みんなを……村雨くんを苦しめることなんて――」
と、言いかけた時。
犬飼くんの唇が、私の口を閉ざした。
……また、犬飼くんにキスされた……。
「どう考えても迷惑かけてるのは“俺ら”だし。
それに、奈央ちゃんが居なかったら確かに苦しまないかもしれないけど、でも俺のそばに奈央ちゃんが居ないなんて、そんなのイヤだよ」
強引にされたキスから解放された時、犬飼くんは少し不機嫌そうにそう言った。