ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~


「ごめん。 結城さんのこと、ずっと“ユウ”って呼んじゃってるね。
なんかそっちの方が呼びやすい。 メールの時の癖だ」

「あ、そういえばそうだねー。 私も自然と返事をしちゃってる」

「うん、だから余計、当たり前のように“ユウ”って呼んじゃう。
出会った時がそっちだったから、お互い自然とそうなっちゃうのかも」


そっか。 言われてみれば確かにそうかも。
出会った時と同じ呼び方で、メールの時と同じように話をして笑ってる。

それが凄く楽しい。


「じゃあさ、私も犬太郎って呼んでもいい?」

「それは却下」

「え、なんでー?」

「ユウなら一般的な名前だけど、犬太郎ってのはさすがにおかしい」

「そうかもしれないけどー……村雨くんがユウって呼ぶなら、私も犬太郎って呼びたいなぁ」

「ダメ」


……やっぱりダメかぁ。
確かに「犬太郎ー」って呼んだらかなり目立っちゃうし、変な感じに思われちゃうかも。


「あ、じゃあ“犬山さん”は? 普通にありそうじゃん?」

「……あのね、ユウ。 僕は、僕の名前を呼んでもらいたい」


え? それって……。




「……啓介くん、って呼んでいいの?」

「うん。 その方が自然」

「じゃ、じゃあ私も名前で呼んでもらいたい!!」


村雨くん……ううん、啓介くんに私の名前を呼んでもらいたい。

そう思って、啓介くんを真っ直ぐに見つめたけれど。




「結城さんは結城さんであり、ユウだから。 だから僕は、名前では呼ばないよ」


……えぇー!?


「私は啓介くんって呼ぶのに、啓介くんは呼んでくれないの……!?」


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