ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~
あ……そっか、犬飼くんが、無理をして倒れてしまったから……だから犬飼くんのご両親が、日本に戻ってきたのかもしれない。
犬飼くんのお父さんは一人暮らしを渋々容認していたけれど、犬飼くんが倒れたのは、今回が2度目……。
「これ以上は危険だ」と判断されれば、犬飼くんはもう、一人暮らしは出来なくなる。
「犬飼くん、どうなっちゃうのかな……?」
「さゆちゃんと同じようにおばあさんの家に住むか、お姉さんのお家に居候するか、もしくは……ご両親と一緒に、外国へ行くか」
「が、外国へ……!?」
「良太郎はあれでも跡取り息子でね、本当は遊んでる暇なんてなくて、色々しなきゃいけない立場なんだよ。
お父さんからすれば、一刻も早く向こうで勉強させたいだろうから……多分、外国へ連れていく気で話を進めてると思う」
そんな……犬飼くんは「日本の学校に入りたかったから残った」って言っていたのに……。
それなのに、外国へ行かなきゃいけないなんて……。
「まだどうなるかはわからないけれど、良太郎が外国へ行く可能性は、かなり高いと思う」
頭のいい啓介くんの言葉に、気持ちがズーンと沈み込む。
犬飼くんが、離れていってしまう。
一緒に笑い合うことが出来なくなる……。
みんなで笑い合ってる時間が凄く好きなのに、それが消えてしまうかもしれなくて……私の心臓は今までにないくらい、ズキズキと痛んでいた。
「……良太郎からの連絡が来るまでは、まだわからないよ」
「……うん」
啓介くんは私を励ますために微笑んでいたけれど、私は上手く笑えなくて、沈んだ気持ちのままぼんやりとお弁当を食べるだけだった。