ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~
「お母さん、ちょっと外に出てきてもいい?
外で、友達が待ってるんだけど……」
おずおずと言う私に、お母さんは少しイヤそうな顔をしたけれど……。
「もうすぐご飯だから、それまでには戻ってくるのよ?」
と、手を振って許してくれた。
「ありがとうっ……行ってきます!!」
了解が出たから、急いで外に出る。
お母さん、本当にありがとう……。
薄暗い玄関を出て通りを眺めると、青山が走ってくるのが見えた。
「結城」
近くに寄ると、青山は息を整えながら笑う。
「悪いな、こんな時間に」
「……ううん、少しなら大丈夫だよ」
「ちょっと来て」
「ん……」
青山に促されてついて行くと、公園が見えてくる。
その公園は真ん中が小さな丘になっていて、1本だけ植えてある桜を眺めながらベンチに座った。
「でさ、啓介のこと好きなんだろ? なのにどうした?」
真っ直ぐに私を見る青山に、ゆっくりと、静かに話していく。
「……あのね、犬飼くんが“卒業するまで……”って言ったあと、啓介くんと犬飼くんは二人で話したんだ。
そこでどんな風に話したかはわからないけれど……でも、啓介くんは一人で帰っちゃって、暗室に残ってた犬飼くんは“啓介は承諾してくれた”って言って……。
啓介くんは、私と犬飼くんが一緒に居てもなんとも思わないのかな?って思って、もう何も言えなくて……こうすることが1番いいのかな?って感じたの」
……あれを聞いた時、悲しくて、胸がズキズキ痛んで、心が苦しくなった。
「だから私は、啓介くんと同じ答えを出したの。
私が居なくても啓介くんはなんとも思わない。 それを知ったから、だから私は、犬飼くんと一緒に居るって答えを出したの」