ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~


「あ、ねぇ青山。 啓介くんと犬飼くんって、殴り合ったりするの?
なんか、いつも殴り合いをしてるような感じで言ってたんだけど……」

「ん? あぁ、たまに河原でやってるな」

「え……何その青春漫画みたいな光景」


あの二人が河原で殴り合いをしてるなんて……やっぱり想像もつかない。




「あの二人、ガキの頃はムエタイだかキックボクシングだかの教室に通ってたんだよ。
で、そこで仲良くなって、学校でも仲良し。 今も二人で技のかけ合いをしてるっぽい」

「あ、そうなの? じゃあ、喧嘩してるってわけじゃないんだよね?」

「おー。 時々すっげー真剣な顔でやり合うこともあるけどな」

「え……それってやっぱり喧嘩じゃ……?」

「んにゃ、怪我しないように手加減してるから違うだろ」


うーん……怪我しない程度の殴り合いは喧嘩じゃないってこと?

……よくわからない。




「青山は、その教室には通ってなかったの?」

「ん? あぁ俺は、ピアノのお稽古一筋」

「ぴ、ピアノ!? 青山が!?」

「そ。 実はモーツァルトが大好き。
白いシャツに黒のズボン、赤い蝶ネクタイをつけての発表会はトラウマだけど」

「ぶっ」


蝶ネクタイをつけてピアノを弾いてる青山を想像したら、腹筋がヤバい……崩壊しちゃいそうかも。

あ、でも子供時代の話だから、やっぱり可愛かったのかなぁ?

本人は苦い思い出しかないみたいだけど。


「なんか意外だなぁ。 青山が格闘技をやって、啓介くんや犬飼くんはピアノ。って言った方がしっくり来るよね」

「あー、良太郎はピアノもやってたよ。 そこで俺と仲良くなって、良太郎を通して啓介とも知り合った」

「へぇー。 犬飼くんって、凄いんだね」

「ま、いいとこのお坊っちゃんだから、そういうステータスが必要なんじゃね? よくわかんねーけどな」


凄いなぁ……そんな人が私と同じクラスで、仲良く話してるなんて信じられないや。


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