ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~
『……奈央ちゃん、実はね、今、奈央ちゃん家の前に居るんだ』
「え……?」
『少し話したい。 だから、出てきてくれたら嬉しい』
犬飼くんが、私の家の前に……。
慌ててカーテンを開けて窓の外を見ると、確かにそこには犬飼くんが居た。
携帯を耳にあてながら電柱に寄りかかって、私の姿を見つけてにっこり笑ってる。
でも私、こんな泣き顔で……。
『俺の部屋で啓介が待ってる。 だから来て欲しい』
啓介くんが……。
ずっと会いたかった啓介くんが、犬飼くんのアパートに居る。
そこで私を待っているんだ。
「……わかった、すぐに行く」
ゴシゴシッと涙を拭い去り、深く息を吸い、ゆっくりと吐き出す。
啓介くんとどんな話をするかはわからない。
だけどそれでも、啓介くんと会える。 自分の想いを、今度はちゃんと私自身の口から言える。
涙のせいで目元は赤くなっているけれど、そんなことは気にもせず、犬飼くんの待っている外へと飛び出した。