ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~


『……奈央ちゃん、実はね、今、奈央ちゃん家の前に居るんだ』

「え……?」

『少し話したい。 だから、出てきてくれたら嬉しい』


犬飼くんが、私の家の前に……。


慌ててカーテンを開けて窓の外を見ると、確かにそこには犬飼くんが居た。

携帯を耳にあてながら電柱に寄りかかって、私の姿を見つけてにっこり笑ってる。


でも私、こんな泣き顔で……。


『俺の部屋で啓介が待ってる。 だから来て欲しい』


啓介くんが……。


ずっと会いたかった啓介くんが、犬飼くんのアパートに居る。

そこで私を待っているんだ。


「……わかった、すぐに行く」


ゴシゴシッと涙を拭い去り、深く息を吸い、ゆっくりと吐き出す。


啓介くんとどんな話をするかはわからない。

だけどそれでも、啓介くんと会える。 自分の想いを、今度はちゃんと私自身の口から言える。


涙のせいで目元は赤くなっているけれど、そんなことは気にもせず、犬飼くんの待っている外へと飛び出した。


< 244 / 266 >

この作品をシェア

pagetop