ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~
「奈央ちゃん」
電柱に寄りかかった犬飼くんが、ひらひらと手を振る。
「次の日には連絡するって言ったのに、今まで何も出来なくてごめんね」
「……うん」
「おいで。 啓介が待ってる。 それと、ついでに渉もね」
「青山も?」
「そ。 除け者にしたこと、ずいぶん怒ってたから仕方なくね」
いつもと同じように話をする犬飼くん。
アパートには青山も居てくれると聞いて、少しだけ緊張が解れた。
ここ数日、青山のあっけらかんとした姿と「心配ねぇよ」って言葉が私の支えだったから……だから青山が居てくれることが、本当に嬉しい。
「……俺たち3人は、みんな奈央ちゃんに恋をした。
だから、決着をつける時に3人がちゃんと一緒に居るのは、神様のお導きかもしれないね」
そう言った犬飼くんは、私の頭をよしよしと撫でながら、今までにないくらいの優しい顔で笑っていた。
そして、犬飼くんの部屋へと到着する。
「さぁ、全部片付けよう。
グチャグチャになってた想いを、綺麗にしよう」
その言葉と共に、ドアが開かれる……――。