ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~
10 それぞれの道へ
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1年と、少しあと。
『本日は私たち卒業生のために、このような素晴らしい卒業式を挙行していただき、誠にありがとうございます』
卒業生代表がお決まりのセリフを並べる中で、みんなとても嬉しそうに笑っている。
私たちは今日、3年間通った学校を卒業する。
そしてこの式が終わったあと、犬飼くんはお父さんお母さんが住む外国へと行ってしまうのだ。
学校を卒業してそれぞれの目指す未来へ進んでいけるのは、本当に本当に嬉しい。
だけど犬飼くんと離れることを考えると、「今日この日がずっと終わらなければいいのに……」と考えてしまう。
本当に、ずっとずっと続けばいいのにね。
そんなことを思いながら、前の方に居る犬飼くんの背中を見つめる。
そのそばには青山も居て、少し離れたところには啓介くんも居る。
みんなと過ごした最高に幸せな時間を思い返しながら、そっと静かに目を閉じた。