ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~


………

……




そして犬飼くんは、卒業式に出席していたお母さんと共に飛行機に乗り、お父さんの待つ地へと行ってしまった。


青山と小百合ちゃんは二人仲良く手を繋いで帰っていき、私と啓介くんは、そんな二人を見送ったあとにようやく歩き出した。




「みんなと出会ってから、本当に色々なことがあったね」

「うん」

「私、みんなにいっぱい迷惑かけちゃったけど……でも、一緒に居られて本当によかった」


みんなとの思い出が、次から次へとよみがえる。


いっぱい迷惑をかけてしまったけれど、それでも私のそばにはいつもみんなが居てくれた。

そして今も、私の隣には啓介くんが居てくれる。




「僕は、迷惑だなんて思ってないよ。
ユウと一緒に居て本当に楽しかった。 そしてこれからも僕は、ユウの隣に居る」

「……うんっ」


私と啓介くんは、これから先も一緒に居る。

啓介くんは大学で、私は専門学校だから、会える時間は減ってしまうだろうけど……でも、それでも私たちは繋がっていられる。

自分たちの想いにちゃんと気付くことが出来たから、もう迷うことはない。




「さてと、卒業祝いに何か食べて帰ろうか」

「あ、高級フレンチがいいなぁ」

「……高校卒業したてだよ? 大学行く前に破産しちゃうじゃん」

「じゃあ、高架下のおでん屋さん?」

「オッサンかよ」


そんなことを言って笑い合いながら、私たちは手を繋ぎ、夕暮れの街へと駆け出した。

繋いだ手はいつまでもいつまでも離さずに、そして、二人の想いも繋がったままに……――。




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