ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~
「……僕は、結城さんと知り合えてよかったと思ってます。
正直に言えば、面倒なことが多くて疲れるけど。
だけどね、異性と話すのがこんなに楽しいなんて、初めて知ったんだ。
結城さんと一緒に居る時間は、何もかもが新鮮で、かけがえのないものなんだよ」
村雨くんの手が、私の手に触れる。
「だから僕は、結城さんの辛い顔や悲しい顔は見ていたくない。
だけど……どうすればそれを無くせるか、僕にはわからない」
「村雨くん……」
手が、震えている……。
震えながらも、村雨くんは何かを決意したような顔で私を見てる。
「渉たちや、ネットの彼……僕たちは誰が選ばれてもあなたに従います。
あなたの気持ちが1番で、あなたの幸せが、1番だから」
私の、幸せ……。
私の幸せは、なんでもないことでも笑い合える、そんな人が隣に居てくれること。
それを叶えてくれるのは、誰……?
「結城!!」
「えっ……」
バンッ!! と勢いよくドアが開き、そこには、息を切らした青山が……。
「啓介!! お前、結城に何やってんだ!!」
私の手を握る村雨くんを睨みつけ、青山は、拳を後ろへと引き、殴りかかるモーションへ入った。
「青山っ……!! やめて、お願い……――!!」
私の言葉はむなしく響くだけで、青山の拳が、村雨くんへと一気に向かっていく。