ある日モテ期がやってきた!!~愛されすぎてどうしよう~
……確かに、屋上にはたくさんの人が居た。
村雨くんが屋上に居たから、だから 村雨くん=犬太郎 になるのは突飛な考えだ。
村雨くんのように一人で屋上に来てる男子は他にもたくさん居たのに、どうして犬飼くんは村雨くんを……。
「啓介と俺って、10年くらい一緒に居るじゃん。
だから、啓介の表情とか態度とか……他の人が気付かないような小さな変化でも、俺にはわかるよ。
屋上で写真を撮ってた時の不安そうな顔、ユウに気付いたあとの困ったような辛そう顔、それから、正体をバラさずにやり取りして苦しんでる顔……。
他の人にわからなくても、俺にはわかる」
私が気付かないような小さな変化を、幼なじみの犬飼くんは気付いていた……?
でもあの時、私は犬太郎からのメールを受信した。
村雨くんは携帯に触ってなかったんだから、メールを送るのは不可能なはず……。
「……ねぇ犬飼くん。 犬太郎は“屋上に行けない”ってメールをしてきた。って、昨日話したでしょ?
あの時、村雨くんが携帯に触っていなかったのを私は見てたんだよ?
だから、村雨くんは犬太郎じゃないよ」
村雨くん=犬太郎 の矛盾点を上げる。
村雨くんが携帯に触っていなかったのを私は確かに見ていたし、隠れて送信するような素振りもなかった。
だから村雨くんは犬太郎じゃない。 犬飼くんの言ってることは間違っているんだ。
と、そう思っていたけれど……。
「送信予約を設定していれば、携帯に触っていなくてもメールは送れる」
私の疑問に答えたのは、村雨くんだった。