絶えぬ想い、君に


「……残念なことにな。」



笑いながらその子の頭を撫でて、そう答えた。



何て答えていいのか、正直わからなかった。



完全に言葉に詰まった。



でも、「いるよ」とは答えられなかった。



子供相手なんだから、テキトーに答えればいいのかもしれないけど、なんとなく言えなかった。



俺の気持ち的にさ。



俺が彼女いるって答えたら、きっとそれは菜緒のことで。



そうは答えてはいけない気がした。



別れたのか別れてないのか、やっぱりわからない。



でも、胸を張って菜緒の彼氏ですって顔は出来ない。



そんなことを思ってると、乃亜が戻ってきて幼稚園を後にした。



乃亜はやっぱり嬉しそうで、いつも以上におしゃべりになってた。



幼稚園の帰り道は、いつも乃亜が喋ってるんだけど、今日はそれ以上。



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