絶えぬ想い、君に
へぇ。
全然知らなかった。
池内が住んでるとこは、俺らの住んでる町の隣。
隣の町っていうと、逆に遠く感じるけど、なんとも近いところに住んでいた。
俺と慎吾は、町の隅の方に住んでて、池内んちがある町寄りなんだよね。
まぁ、この高校地元から通ってる奴多いけど、こんなに近い人初めて会った。
「え、じゃあ今度会えるかな、氷野くんの妹。」
「あぁ、うん。」
「俺も会いたーい。最近全然会ってないんだけど。」
「お前は会わなくていいっつーの。」
慎吾はなぜかデレデレなんだよね。
もともと子供が好きらしいんだけど、なぜか特に。
まぁ、いいけどさ。
俺のその話からどんどん進展していって、慎吾と池内と鈴木は自分達の兄弟の話で盛り上がっていた。
俺は、そんな会話を帰る支度をしながら聞いていた。
でも、話にはもう入らずに、教室を出た。
時間がないっていうのはそうだけど、そういう話には入りたくなかった。
入る気にならかった。
っていうか、入れる話ではなかった。
隣にいるのに、どこか遠い話をされているような、そんな気がした。