絶えぬ想い、君に
あの後、菜緒はいつも菜緒がいた部屋ではない、別の部屋に移された。
俺はただその部屋で、菜緒の隣に座っていた。
信じられなかった。
菜緒が死んだなんて、信じられなかった。
菜緒の隣に座ってても何も出来ないけど、でも離れることは出来なかった。
でも先生にも帰った方がいいって言われて、家に帰って来たけど、でもやっぱり何も出来ない。
コンコン。
ドアをノックする音がした。
「…何?」
立ち上がる気力もなくて、ドアも開けず、ただ返事だけした。
「俺。」
ドアの向こうから聞こえた声は、親父の声ではない男の声だった。