絶えぬ想い、君に


菜緒が体育をやったのは、この日の体育が最後だった。



なんだろう。



なんで今日はこんなことばっか考えちゃうんだろう。



なんで…なんで菜緒がいなくなった今になって、こんなにいろいろ思い出したりするんだろう。



遅いよ。



この学校に菜緒がいたわけでもないのに、いろんなもので菜緒を思い出す。



だけどやっぱり肝心なとこが出てこない。



菜緒との思い出、俺のあの時の気持ち。



そういう目には見えないものは思い出すのに、もっと大事なものがうまく思い出せない。



菜緒の声、菜緒の笑顔。



菜緒の声も笑顔も、もうぼんやりとしか思い出せなくなってきてる。



思い出すものはあるけど、それがホントなのか自信ない。



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