絶えぬ想い、君に


自分でどこに向かってるのかも、どこに行きたいのかもわからないまま、ただ歩き続けてると、いきなり雨が降ってきた。



でもそれに気付いたのも、自分がだいぶ濡れてからで、すれ違う人が差してた傘にぶつかって初めて気付いた。



でも傘も持ってないし、差す気にもならなかった。



いつもなら“明日も着るんだし、制服濡らしたくねぇなぁ”とか考えてたと思うけど、そんなことカケラも頭になかった。



これからが見えなくて、ただ歩いていた。



菜緒が事故に遭ってから、俺の頭には後悔しかなかった。



でもそんなものを遥かに上回る後悔で、押し潰されそうだった。



俺があの時…ってそればっかりで。



「いって!!」



すれ違った人から、いきなりデカい声でそう言ったのが聞こえた。




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