絶えぬ想い、君に
だけど、喪主が挨拶する時になって初めて、来てくれた人の顔をちゃんと見たけど、その時はなぜか苦しくなった。
「皆様、本日は―――…」
挨拶していても、涙は出なかった。
でもただただ、心が苦しかった。
挨拶しながら来てくれた人を見渡すと、泣いてる人もいた。
だけど、そういう人を見れば見る程、苦しかった。
その後も、葬儀は進んで時間も進む。
葬式も終わって、場所も移動して、菜緒がホントにこの世からいなくなる時が来た。
菜緒がいなくなる直前、菜緒の周りに花を添える。
ただ泣きながら黙って花を添える人もいれば、菜緒に一言言葉を残してる人もいた。
「菜緒ちゃん…」
ただ、そう呼びかけるだけの人も。