絶えぬ想い、君に


俺は最後に花を添えた。



昨日も菜緒の顔は見た。



でも、今見た菜緒の顔は、全然違った。



「菜緒。」



何も言わないつもりだったけど、無意識に名前を呼んでいた。



「菜緒…」



もう最後なんだと、急に実感が湧いてきた。



もう菜緒の顔を見ることは出来ない。



一生、菜緒の笑顔を見ることはもうない。



一生、菜緒が俺の名前を呼んでくれることもない。



そう思ったら、急に涙が溢れてきた。



「菜緒……菜緒…」



何度呼んでも、目は開けてくれない。



変だよね。



3年前から、ずっと同じなのに今日は涙が出る。



目を開けてくれない菜緒に、涙が出る。




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