絶えぬ想い、君に


菜緒。



今日のこと、乃亜には言えてない。



用事があったって、それしか言ってない。



俺、どうしたらいいかわかんないよ。



乃亜に、話すべきなのかな。



つらくて、泣きたくなった。



乃亜は、菜緒との別れを、用事だと思ってるんだよ。



菜緒にも乃亜にも可哀相だよ。



そう思うけど、言えない俺は、逃げてるだけなのかな。



ねぇ、菜緒。



俺が菜緒に最後に言った言葉、聞こえてた?



ごめんって言ったんだ。



…あれが最後の言葉でよかったのか、わかんない。



“ありがとう”とか、“好きだよ”とか、“愛してる”とか、もっと前向きな言葉があったかもしれないのに、俺が最後に浮かんだ言葉は“ごめん”だった。




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