絶えぬ想い、君に


俺がいつも行く病室は、いつ行ってもその部屋の光景が変わることはない。



1つ変わるのは、飾られてる花。



毎日変わるわけじゃないけど。



それ以外は、何も変わらない。



この部屋からは、何も音がしない。



ただ、機械音だけ。



この病室のベットに寝てる患者の心臓が、動いてることを示す音だけ。



声は聞こえない。



病室の外から、聞こえるだけ。



たまに聞こえる声は、俺の声。



この病室にいる人に一方的に話しかけるだけの、俺の声。



「菜緒…」



この病室のベットにいるのは、俺の彼女。



俺がここに来るようになって、もうすぐ3年が経つ。



そりゃ、顔も覚えられるよね。



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