絶えぬ想い、君に
俺はなるべく毎日ここに来る。
ここに来て、彼女に話をする。
今日あったこと、とか。
何か疑問を投げかけても、何も返事はない。
文の最後に“?”がつくようなことを話しかけても、菜緒の声は聞こえない。
ほぼ毎日毎日ここにきて、何も変わらないこの病室の光景を見る。
その変わらない光景に、安心する。
ちゃんと生きてるから。
でも、そのすぐ後に寂しさが襲う。
何も変化のない彼女に。
何も光景が変わらないのは、生きていてくれてる証拠。
それだけでも安心するけど、声を発してくれない、目を開けてくれない、何も変化のない毎日に寂しくもなる。
生きていてくれるだけで、喜ばしいことなのに。
人間は、欲張りだね。