絶えぬ想い、君に
俺も病院から帰るとき、よく菜緒のおばあちゃんちに寄ってった。
おばあちゃんが「おいで」って言ってくれるのもあるけど、乃亜ちゃんに会いたかった。
たぶん菜緒は、乃亜ちゃんのことを何よりも1番大切に思ってたから。
事故から1年以上が経っても、菜緒は目を覚まさなかった。
俺は高1、乃亜ちゃんは3歳になっていた。
俺が初めて乃亜ちゃんに会った時は、まだ赤ちゃんって感じだったし、俺のことわかってんのかもわかんなかったけど、もう普通に喋れるし、俺にすごいなついてくれていた。
毎日ってくらい会ってるしね。
そして、俺が高1の春休み。
菜緒の病室に行って、その帰りに菜緒のおばあちゃんちに行った。
そして自分の家に帰ろうとした時。
「いっちゃやだぁ。」
帰ろうとした俺に、乃亜ちゃんが泣きながらそう言った。
その時、乃亜ちゃんと一緒にいようって思った。
正直、何勝手なこと言ってんの?って感じだけどね、俺。
でも、「行かないで」っていう乃亜ちゃんが、少し菜緒に見えた気がした。