絶えぬ想い、君に


「っつーか、異母兄弟とかそんなんでもなくて、欠片も血は繋がってない。はっきり言うと、他人なんだ。」


「じゃあなんで…」


「俺さ、彼女いるんだ。」


「え……」



今までも驚いてたような顔してたけど、もっと驚いた顔をされた。



「意外?俺に彼女いるの。」


「え…ううん…」


「中3から付き合ってんだけど、事故に遭ってさ、彼女が。」


「…事故?」


「そう。俺の目の前で車にはねられたの。」


「……」


「頭の打ち所が悪かったのか、命は取り留めたけど、意識が戻らなくて。」


「……」



菜緒のことを口に出したのが久し振りで、なんだか複雑な気持ちになった。



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