~LOVE GAME~
「……男のことって? 誰のこと?」
と、貴島君が静かに聞き返した。
「それはね~……んぐ」
話したがりのちなの口をとっさに塞ぐ。
これ以上変なことを言われたらたまったものではない。
「何でもない! 忘れて? ほら、教室行かないと授業始まるよ?」
そう言って貴島君を残し、無理矢理ちなを引っ張っていった。
「ちな!」
「ごめん、つい」
私が頬を膨らましてちなをみると両手を合わせ素直に謝る。
「ごめんね。だって楓から男子の話聞くのってめったにないじゃん? 寝不足なのもそれが関係しているのかなって思ったらなんかちょっと嬉しくなって」
「ちな……」
ちなに電話して、龍輝君に言われたことを話していた。
そもそも、ちなは私が恋愛とかをうっとおしいと思っているのを知ってる。
中学に入ったころからの親友だけに、私が一度も恋愛をしていないことを知っていた。
だからこそ、龍輝君の話題を私からしたから嬉しくなっただろう。
話好きだけど、友達想い。だから憎めないのだ。
「ありがとう、ちな」
私がそういうと、ちなは照れたように笑った。