~LOVE GAME~
「大丈夫? 何かあったの?」
いつもと様子が違う私を心配して、顔を覗き込むちな。
優しいな、ちなは。
でも……、さすがにこれはちなにも言いにくい。
「……ううん、大丈夫。何でもないから」
「ならいいけど……」
本当はいろいろ聞きたそうな表情のちな。
でも無理に聞きだそうとはしない。
……ごめんね。ちな。
私が再び小さくため息をつくと、フッと横に人の気配がした。
顔を上げると、そこには貴島君が立っていた。
「あれ~? どうしたの? 貴島君」
私の問いかけに、貴島君は困ったように微笑んだ。
「どうしたも何も……。今日の昼休みは委員の小会議があるんだけど?」
小会議……、そんなのあったっけ?
私がポカンとしていると貴島君は苦笑した。
その笑顔に顔が赤くなる。
そうだ、思い出した。この前の会議終わりに言われていたっんだった。
すっかり忘れていた。恥ずかしい~!
私は赤い顔がばれないように急いで席を立った。
「ご、ごめんね! すぐ行くね!」
「うん」
貴島君はまだ苦笑していた。
恥ずかしい! バカな子って思われたよね!
(そりゃあ学年2位の貴島君にくらべたら私なんて大バカだけど…)
貴島君をチラリと見ると優しく微笑んで、準備する私を見ていた。
なぜだかとても照れてしまった。
急いで二人で会議室に向かい、扉をガラリと開けると既にみんな揃っていた。
一斉にみんながこちらを向いて注目される。
「おっせーぞ。1‐G」
担当の先生に注意され、私達はペコペコ謝りながら席に着いた。
顔を上げると、こちらをジッと見ていた龍輝君と目が合ってしまった。
「っ……」
昨日のこともあり、私の心臓はドキンと跳ね上がった。
龍輝君は机に肘を立てていて、口元に手を当てている。
私をジッと見た後、小さく笑ったようだった。
「バーカ」
口パクでそう言われたのがわかった。
私は恥ずかしさから顔が赤くなるのを感じて、俯いて龍輝君の視線から目を反らした。
「怒られちゃったね」
下を向いていると、隣に座る貴島君が小さい声で私に囁いた。
顔をあげると、ちょっと悪戯っ子のように笑っている。
「あ……。そうだね」
その笑顔にホッとして、私も釣られてクスリと笑った。
会議は小とつくぐらいだから、15分程度で終わった。
昼休みが終わるまでまだ10分以上ある。
「早く終わって良かった」
「そうだね。まだゆっくり出来るね」
私は貴島君にそう言いながら席を立とうとするとフワッと机に影が下りた。
顔を上げると、そこには……。
「龍輝……君」
優しく微笑む龍輝君がいた。