~LOVE GAME~
その妖しい笑い方に、また私の胸はドキッとする。
何なの、もういちいち!
この心臓、おかしいよ!
ドキドキし過ぎて、泣きたくなってきた。
膝の上に頭を乗せたまま龍輝君がジッと見つめてくる。
そして、手を伸ばして私の頬に振れた。
「俺に、そういうこと言うわけ?」
「っ、だって!」
「だって? 何?」
…っ。
“俺の言うこと聞けよ”
そうだけど……でも……。
凄く恥ずかしいんだもん……。
「……少しだけだからねっ!」
口を尖らせて言う私に、龍輝君はフッと笑う。
「じゃぁ、次の時間はサボりっつーことで」
「へ?…ああぁっー! もう授業始まってるじゃん!」
腕時計は授業開始からすでに10分以上たっていた。
そんな!
ガックリとうなだれる。
お母さん、ごめんなさい。
楓は初めて授業をサボります。
自然とため息が出た。
見ると、いつの間にか龍輝君は私の膝の上で気持ち良さそうに眠っていた。
スカートの上から感じる彼の体温と重み。
膝にかかるサラサラな髪が少しくすぐったい。
まつ毛長いなぁ……、羨ましい。
鼻筋もスッと通っている。
目を閉じていても綺麗な顔をしているなとつくずく感じた。
この人があのたっくんだなんて……。
記憶の中の龍輝君は優しい無邪気な笑顔だった。
口調だって穏やかで、こんな俺様みたいな言い方はしない。
顔は……はっきり覚えてないけどさ。
あの子と同一人物なんだよなぁ……。
あの事故はショックだったけど、でも“たっくん”は生きていた。
良かった。
本当に良かったと思う。
「生きてて……良かった」
私は小さく呟いた。