~LOVE GAME~
人気者との噂
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見られてる……、気がする。
私は歩きながらそう思った。
登校ひて、校門をくぐってから周りの視線を感じていた。
なんだろう、チラチラ見られてるような気がする。
「おーはよ! 楓!」
急に後ろから声をかけられ、ビクッと肩が跳ねた。
「ちな! ビックリした~」
「へへ。あ、もう体調はいいの?」
「え? 体調……? あ、うんっ。もう大丈夫。ありがとう」
なんのことだろうと思ったけど、そうだった。
昨日授業をサボった後、シレッとした顔で龍輝君が教室まで送ってくれた。
ちょうど下校間際で先生に見つかり、案の定問いただされた。
すると龍輝君は……。
『すみませんでした。委員会の後、二人で話をしていたら松永さんが貧血を起こしてしまって……』
『そうなのか? 松永。もう大丈夫か?』
『えっ! あ、ハイ……』
龍輝君の嘘に慌てながらも合わせた。
『保健の先生もいなかったので、僕がずっと付いていたんです』
心配そうな顔で、優しく見下ろしてくる龍輝君。
表の顔だ。
先生は優秀な生徒である龍輝君が嘘をつくなんて夢にも思っていないのか、すんなり信じた。
『そうだったのか。優しいな、春岡は。ありがとうな。ほら、松永からも礼を言え!』
『ええっ!? ……ありがとうございます……』
納得はいかなかったけど、仕方なくお礼を告げた。