~LOVE GAME~
「貴島ってさぁ~……」
ちなが先に行ってしまった貴島君の後ろ姿を見ながら呟く。
「ん?」
「絶対、楓に気があるよね」
え? 貴島君が私に?
ないないないない!
貴島君みたいな人が私なんて気にしないよ。
あまりにも飛躍した考えに笑ってしまう。
「違うよ、同じ委員長だからでしょう」
「そうかなぁ~……」
ちなは不満そうに呟く。
不満そうにされてもなぁ。
私は苦笑いした。
教室には心地好い風が入ってくる。
窓際の席の私は頬杖をつきながら、ボーッと外を眺めていた。
眠くなるなぁ。
何気なく目線を下に下ろすとそこには……。
あ……。
ドキッと心臓が鳴り、私の眠気は一瞬で遠のいた。
グラウンドにいるのは龍輝君だ。
体育のため、ジャージ姿。
……ジャージも似合うって凄いな。イケメンはなに着ても似合うんだね。
友達となにか楽しそうに話して笑っている。
光に当たって髪がキラキラしている。
髪、茶系なんだな。
って! 何見てるんだ!? 私。
ハッとして、目を逸らそうとした時。
ちょうど上を見上げた龍輝君と目が合ってしまった。
うわ!見られた。
慌ててバッと目を逸らし教科書に目線を落とした。
見てたのに気がつかれたよね?
うわぁ、恥ずかしい。
私は赤くなった顔を隠すように机に突っ伏した。
ーーーー
「……で。楓!」
「う……ん?」
身体を揺さぶられてぼんやり顔を上げると、ちなが呆れたように見ていた。
あれ……? 授業は?
声にならない声を発すると、苦笑された。
「終わったよ。ご飯しよう」
そっか、あれから寝てしまったのか。
「気持ちよさそうだったね~」
「ハハ……ごめん」
「飲み物買いにいくんでしょ? 早くいかないと混むよ」
「そうだね。ちょっとジュース買ってくる」
ちなに手を振り、お財布を掴んで購買へ向かった。
購買はやはり混んでいて、自販機の飲み物にすることにした。
何にしようかなぁ~。
自販機の前で腕を組んで考える。
う~ん、ここはやっぱり……。
「苺ジュース?」