~LOVE GAME~
「ごめん…」
何となく謝ってしまう。
龍輝君は自分が座っている隣の床をペチペチと叩き、無言で座れと指示した。
上目遣いとか、やめてよ……。
俺様でムカつくのに、なんか可愛く思えてしまう。
小さく息を吐き、黙って座った。
「ご飯食べていいかな?」
「あぁ、どうぞ」
手をつけてなかったお弁当を広げる。
「あれ、龍輝君は?」
「もう食った」
「早いね」
「パンだけだからな」
横には確かにパンのゴミらしき袋があった。
いつもひとりでここで食べてるのかな?
「いつもここだよ」
「え?」
私の考えを読み取ったように話し出した。
「時々友達と食うけど、だいたいひとりでここにいる」
「……どうして?」
私は首を傾げる。
友達と一緒のほうが楽しいのに。
私の疑問に、龍輝君はフワッと柔らかく笑った。
……っずるい。
不覚にもその笑顔に心臓が大きく鳴ったよ。
「楽だから。それにそのおかげで、楓とこうしていられるだろ」
なにそれ。まるで、私と二人で過ごすのが嬉しいって言っているみたいじゃない。
そんなわけないのに。
でも恥ずかしくなり俯く。
そんな私の隣にくっつくように龍輝君が寄ってきて座った。
近っ!
離れようとしたが、龍輝君はピッタリとくっついてきた。
「な、なに!?」
「それ、お前が作ったの?」
「え?」
指を指された方をみると卵焼きがあった。
食べたいのかな? いいけど。
「うん。私が作ったよ」
お母さんはまだお父さんのところにいるし、そうじゃなくても基本的にいつも自分で作ってる。
龍輝君はじっと見つめて呟いた。
「うまそう」
「食べる?」
と同時にひょいと食べられてしまった。
「………甘っ」
そう呟いて苦笑する。
そんなに甘かったかなぁ。
「甘い玉子焼きは嫌い?」
「そんなことないけど、妙に甘く感じただけ」
そういいつつ、もう一つの玉子焼きもパクッと食べた。
「なぁ……」
「何?」
「俺のこと見てただろ」
見てた…?
そして、何の話かすぐに気がつく。
「あっ、いや、あれは偶然で……!」
体育してる所を見ていたのバレてた!
慌てる私にニヤリと笑う。