~LOVE GAME~
気が重いなぁ。
自然と行動が鈍くなる。
「大丈夫?」
ちなが小さく声をかけた。
噂にうんざりしているのを知っているから気遣ってくれたんだ。
「ありがとう、大丈夫」
まぁ、委員会だけだし、龍輝君には近づかなければいいんだもんね。
私はニコッと笑顔を返した。
ちなに別れを告げ、廊下に出て驚く。
「あれ? 待っててくれたの?」
てっきり先に行っていたのかと……。
そこには貴島君が入口の側の壁によりかかるようにして立っていたからだ。
「一緒に行こう」
「うん」
隣を歩く貴島君の顔をソッと見上げる。
どうしたんだろう、なんか機嫌悪い?
いつもはニコニコしているのに、なんか顔が無表情だ。
すると、貴島君が口を開いた。
「松永さん……さ」
「なに?」
「今、噂の的みたいだね」
そう言われて顔がひきつる。
噂……、その話か。
「春岡とはどんな関係なの?」
「関係は、えっと……」
なんて言ったらいいかな。
本当のことは言いにくいし、ここは素直に。
「幼なじみ……かな」
うん。嘘偽りない、一番の真実。
答えたが、貴島君の反応はうすく、へぇ…と低く呟いた。
な、何? なんか貴島君恐いよ!?
「それだけ?」
「まぁ、噂では色々あるけど、でも……」
と、その時。
「俺が何かな?」
柔らかい声が後ろから聞こえる。
でも振り向かないでもわかる。
私にとっては今一番会いたくない人の声だから。
「俺がどうかした?楓ちゃん」
優しい笑顔で龍輝君が立っている。
私にはその笑顔が恐いです……。
私は気まずくて目を逸らした。
「ごめんね。俺のせいで変な噂たっちゃって」
申し訳なさそうにしててもそうは見えないから!
俯いたままでいると、貴島君が私の前に立った。
「春岡さぁ。自分の立場考えたほうがいいよ」
「君は……、貴島君だっけ?」
「松永さん、噂に困っているみたいだから」
貴島君に言われて、龍輝君は貴島君の後ろにいる私を覗き込む。
「困らせちゃった?」
うわぁ…表情は困惑している感じなのに、目が恐い。
困ってないよねって訴えかけている。
私はブンブンと首を横に振った。
「大丈夫だよ……」
そう答えるしかない。
困っている、なんていったら後が恐ろしい。
「ほら。大丈夫だって」
と、龍輝君は微笑む。
「貴島君さぁ……」
龍輝君は貴島君に一歩近寄る。
背の高いイケメン二人が並ぶと絵になるし迫力があった。
それだけで、周りもチラチラ見ている。
「俺達のこと、君が気にする必要はないんじゃないかな」
"俺達のこと"を強調してそう言った。
龍輝君はニッコリ微笑むけど、目が笑っていない。
なんだかマズイ雰囲気だ。
「あ、ほら二人とも! 遅れるから急ごう?」
睨む貴島君と微笑む龍輝君を促して、私は委員会へ向かった。
なんなの……もう!