~LOVE GAME~
告白
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「では交流祭は1-Gからはドリームカフェに決定しました」
貴島君が黒板にクルッと丸をつけた。
クラスからは拍手と、交流祭への期待の声が上がっていた。
要はそれぞれクラスで出し物をして、お互い仲を深めようというお祭りだ。
うちのクラスは『ドリームカフェ』という、みんなが好きなキャラクターの格好をするカフェに決まった。
「では調理担当と買い出し担当、あとは各々キャラ準備をするように」
先生のような貴島君の言葉を最後に、クラスの皆は帰っていった。
「ドリームカフェかぁ。楽しみだなぁ」
「松永さんは何でも似合いそうだよね」
貴島君は黒板を消しながら笑った。
「そうかな~。あ、でも貴島君が調理担当なんて、ガッカリする女の子多いんじゃない?」
「何言ってるの。そんなの居るわけないじゃん」
苦笑しているけど、あなた、結構人気あるんですよ?
自覚ないんだなぁ。
「それに、交流祭前は塾で試験があるから服とか縫ってらんないんだよね。だから主に当日頑張るだけでいい、裏方の調理担当でよかったよ」
そうか、事情はあるのね。
「試験か。大変だね」
塾か。だから貴島君は頭がいいんだな。
私とは大違い。塾とか行きたくないもん。
「まぁ、でも……春岡には勝てないんだけどね」
「龍輝君?」
確か龍輝君は学年トップだっけ。
そして貴島君は二位。
やっぱり意識したり、負けて悔しいとか色々あるんだろうな。
「……松永さんは春岡と幼なじみなんだよね?昔から頭のいい奴だった?」
「あ~……、どうだろつ。小さい頃だったし、遊んだことはあったけど、勉強についてはわからないや」
そう答えると驚いた顔をされた。
「そうなんだ? 俺、てっきり色々と知ってるのかと思った」
「あぁ、うん」
「幼なじみっていっても、あまり知らないんだね」
貴島君は苦笑して、手についたチョークの粉をパンパンとはらった。
知らないか……。
まぁ確かに間違ってはいない。
私、名字を聞いても龍輝君があのたっくんだなんて直ぐに気がつかなかった。
そう思うと、龍輝君のことよく知らないや。
「ということは、春岡も松永さんのこともそんなに知らないってこと?」
龍輝君も……?
「うーん、どうかな……」
……そうかも。
私達、幼なじみって言っても、対して深い仲でもない。
幼い頃に、少し遊んだことがある程度だ。
そう思うと少し寂しい気がした。
特別な繋がりってそんなにないのか……。
「じゃぁ、俺と条件はほぼ同じなのかな」
「条件?」
条件って? 何の話だ?
言っている意味がさっぱりわからず、ポカンとする私に、貴島君は嬉しそうに頷いた。
「なんでもない」
そう言っても表情はずっと笑顔だ。
変な貴島君。
そんな貴島君はずっとニコニコと私を見つめていた。