~LOVE GAME~
私は貴島君にわかったと頷くと貴島君はニッコリと笑い、龍輝君を見た。
「悪いね、春岡。松永さん連れていくから」
貴島君は私の肩を組む。
「えっ……」
そんなことされるなんて思っていなかったから思わずドキッとしてしまった。
「行こうか。松永さん」
「あ、うん……」
回れ右をさせられ、龍輝君に声をかける間もなく連れ出されてしまった。
貴島君に連れてこられるがまま、調理室へ着いた。
誰もいない室内は甘い匂いが充満している。
「評判よかったよ。貴島君たちのクッキー」
「それは良かった」
火元の点検をしながら貴島君は嬉しそうに笑った。
「松永さんは食べてくれた?」
「あ~、実はまだなの。忙しくてつまみ食いも出来なかったんだ」
「そうだろうかと思って……はい」
テーブルにコトンとクッキーがのったお皿をだした。
「お茶会などいかがですか? アリス」
紅茶をだしながら、セリフ口調で言う。
「あはは、嬉しい! いただきます」
パクッと1口食べると、甘いメープルの味がしてとても美味しかった。
「うん、やっぱり噂通り美味しい」
「松永さんにそう言ってもらえて嬉しいな」
貴島君は私に紅茶を出しすと、隣に座わった。
「さっき春岡来てたけど、何話していたの?」
「えっ……、ゲホッゲホッ」
突然、龍輝君の名前を出され紅茶をむせてしまった。
「な、何って……」
「仲いいよね。二人」
「そうかな……?」
はたから見ればそう見えるだろか。
仲良さそうなの? 意地悪されているだけだし、変なゲームをさせられているだけだけど……。裏の顔を知らない人にはそう見えるのか。
「春岡の……」
「え?」
つい色々考えてしまい、貴島君の声にとぼけた返事をしてしまった。
龍輝君がどうしたの?
「春岡のクラスにさ、行くの?」
貴島君は珍しく笑顔を見せずに聞いてきた。
どうやらさっきの龍輝君との会話を聞いていたようだ。
「行くの?」
「あ、うん。行こうかな。来てって言ってたし」
「……そう」
呟いた貴島君の顔は真剣そのものだ。なんだろう。
貴島君、なんか様子が変。
「貴島君?どうかした?」
「もし俺が、行かないでって言ったら?」
「え?」
「行かないでって言ったらどうする?」
貴島君……?
「俺さ、松永さんのことが好きなんだよね」
好き……?
貴島君が、私を?
え? …………ええっ!?
「えっ、貴島君!?」
「こんな風に告白するつもりなかったんだけどね」
貴島君は気まずそうに自分の首元を触っている。
貴島君が私のことを好きだなんて、冗談だよね!?
「思いがけず言っちゃったけど、冗談でもなんでもなく、本気だから」
「貴島君……」
「松永さんが委員長やるって言ったから俺も手を挙げた。入学した時に一目惚れして、ずっと好きだったんだ」
「一目惚れ……」
今更ながら、顔が赤くなってくるのが自分でもわかる。
だって告白されたのなんて生まれて初めてだ。