~LOVE GAME~
翌週。
近くまで来ているから一緒に学校行こうと、家を出る前に貴島君から連絡があった。
「間に合うかなぁ~」
私は慌てて支度をする。
「楓。朝から何慌ててんだ?」
洗面所で髪を整えていると、お兄ちゃんが不思議そうに覗き込む。
「えっ!? あ、ちょっと……」
言葉を濁した、その時。
ピンポーン。
玄関からインターホンがなった。
ヤバイ!
「誰だよ、朝っぱらから」
「あっ、待って! お兄ちゃんっ!、待って!」
出ないでー!
が、しかし私の思いも虚しく、お兄ちゃんが私よりも先に玄関を開けた。
「……誰だ、お前」
お兄ちゃんの不機嫌な低い声。
その先にはもちろん貴島君の姿があった。
「おはようございます。楓さんを迎えに来ました」
爽やかな挨拶とは比例して、お兄ちゃんからは威圧感が醸し出される。
「き、貴島君……」
「…楓。何こいつ」
貴島君をクイッと顎で指しつつ、私に聞いてきた。
「えっと…、同じクラスの貴島君」
お兄ちゃんは貴島君を睨みつける。
「どうしてクラスメイトが朝から迎えに来るんだ?」
「それは~、その……あー、もうこんな時間だ! 行かなきゃ!ごめん、お兄ちゃん。また後で。貴島君!行こう!」
私は荷物を持って、強引に貴島君の腕を掴んで連れ出す。
「楓。話は帰ってからだ。行ってらっしゃい」
「い、行ってきます」
背中に鋭い視線を感じながら、足早に家から遠ざかる。
うぅ。お兄ちゃんに見つかるなんて最悪だ。
家に帰るの嫌だなぁ……。
「今のお兄さん?なんか俺、迎えに来たらマズかったかな」
「あ~……、お兄ちゃんってシスコン気味なんだよね。ごめんね、気にしないで」
私は手をパタパタ振って言った。
貴島君は笑顔で頷く。
う~ん、爽やかだな。
「でも本当、急に迎えに来たりしてごめんね」
「ううん。大丈夫だよ」
「そっか。なら良かった。せっかく付き合えるんだし、何か彼氏っぽいことしたかったんだ」
照れたように笑う貴島君。
なんだか可愛らしくてつられて私も笑った。
二人で他愛もない話をしながら歩いていると、後ろから声が聞こえた。
「おっはよー!」
思いっきり後ろから抱き着かれ、振り返るとちなが私達を見比べていた。
「あれ、何? 二人で仲良く登校?」
「おはよ、ちな」
「ど~ゆ~ことかな?」
ちなはニヤッと私を覗き込んだ。
そういえば、説明していなかった。
う~ん、なんて言えばいいのかな。
一週間とはいえ、やっぱり付き合ってるって言うのかな。
私が戸惑っていると、貴島君が口を開いた。
「付き合うことになったんだ。一週間だけだけどね」
サラリと貴島君は言う。