~LOVE GAME~
デート
翌日。
「え? 土曜日?」
「そう。遊園地、行かない?」
貴島君がお弁当箱を片付けながら照れくさそうに言った。
明日は土曜日だから学校は休みだ。
だから遊びに行こうと誘われたんだけど、つまり、それってデートってこと?
「そこで告白の返事、聞かせてほしいんだ」
「あ……」
そうだった。
返事……。もう一週間たつんだ。
お試しの一週間なんだから、私も考えてしっかり答えを出さなくちゃ。
私は小さく頷く。
「ありがとう」
貴島君の笑顔を胸が苦しくなった。
明日は返事をしなくてはいけない大切な日。
だから、早く家に帰ってゆっくり気持ちの整理をしたかったのに。
こんな日に委員会があるなんて……。
ため息をついて、重い気持ちのまま会議室へ向かう。
なんだか貴島君と一緒に行きにくい感じがして、先に行っててもらった。
ズルズルと委員会の時間は迫り、仕方なく会議室へ向かう。
会議は始まる寸前で、私は黙って貴島君の隣に座った。
「どうしたの? 体調でも悪い?」
貴島君が小声で聞いてきた。
遅かった私を心配してくれたんだろう。
「ううん、大丈夫だよ。ごめんね」
小さく微笑んで俯いた。
机はコの字型になっているから前には龍輝君がいる。
チラッと見ると龍輝君は机に頬杖ついて黒板を見ていた。
『GAME OVERだ』
龍輝君の声が蘇る。
龍輝君にとって遊びは終わった。
暇つぶしは終わった。
ただそれだけのこと。
それだけのこと……だ。
それなのに、なんかだかあの言葉が頭から離れなかった。
「松永さん? 会議終わったよ」
「あ、うん……」
「大丈夫?」
会議に身が入らなかった私を、心配そうに貴島君が見つめる。
心配かけてはいけないね。
私は微笑んで首を振り、素早く立ち上がった。
そのはずみで勢いついて後ろに軽くよろける。
「わわっ」
バランスを崩すが、誰かにぶつかり、身体を支えられた。
「ごめんなさい! あ、龍輝君……」
謝りながら振り返ると龍輝君が後ろに立っていた。
肩には大きな手が添えられている。
その手を意識してしまい、パッと姿勢を正して体勢を整える。
「大丈夫?」
「うん……」
表向きの爽やかに笑顔を向ける龍輝君に戸惑った。
そうだ、まだ周りにはみんながいるもんね。
「何? 春岡」
「これ次の議題。次回の会議、君達のクラスが司会当番だろ」
龍輝君は貴島君に資料を渡す。