~LOVE GAME~

~その後3~



ついに明後日から夏休み。
授業は今日で終わり、明日は終業式のみとなった。
最後に委員会があるので、貴島君と集会室へ向かう。
貴島君とは、告白を断ったあと少しだけギクシャクすることもあったが、今ではこれまで通り接することが出来ている。
……と、思っている、私は。
実際、貴島君がどう思っているのかなんて知ることは出来ないんだけど。
でも、こうして変わらず話をしてくれているから私も何も言わないでいた。

「夏休みは春岡とどこかに出掛けるの?」

貴島君に聞かれて頷く。

「来週の夏祭りに行く約束はしてるよ。後は追々相談かなぁ」
「いいな。青春って感じ」

嫌味な感じではなく、サラッと言われた。

「そうかな」

貴島君の返事にアハハと笑って流す。
青春か……。
青春たっぷりしたいけどね。
龍輝君の考えや想いがさっぱりわからないでいた。
あの女の子のことも全然聞けてないし……。
軽くため息をつくと、貴島君が顔を覗き込んできた。

「どうしたの? なにかあった?」
「え?」
「春岡と喧嘩でもしたの?」
「そんなことないよ」

慌てて手を振って否定する。
喧嘩はしていないから嘘ではない。

「そう? 喧嘩していたらチャンスだと思ったんだけど」

貴島君はそう言ってニヤリと口角を上げて微笑んだ。

「えぇ!」
「冗談だよ」

驚く私に、貴島君がそう言った。
驚いた、冗談か。……本当に冗談だよね?

「何の話だ」

後ろから急に声をかけられて驚いて振り返る。
そこには不機嫌そうな龍輝君が立っていた。
もしかして、話し聞いてた?

「貴島……、冗談にもほどがあるぞ」
「聞こえてたか……」

龍輝君の言葉に、貴島君はニッコリ微笑む。

「冗談にさせてもらえるくらいに、松永さんが幸せなら問題ないだろう。なぁ、春岡」

そう言うと、貴島君は先に集会室へ入っていった。
龍輝君は眉を潜めて貴島君を睨んだ後、私を見下ろす。

「貴島と仲が良さそうだな」

どこか棘のある言い方にムッとする。

「同じクラス委員なんだから仕方ないでしょう? そんなこと言ったら龍輝君だって……」

言いかけて、口をつぐむ。

「俺が何?」
「……ううん、なんでもない。あのさ、今日、一緒に帰れる?」

そう聞くと、龍輝君はスマホをチラッと見て小さく息を吐いた。

「悪い、ちょっと無理かも」
「……そっか。じゃぁ、明日の終業式はどう?」
「明日なら大丈夫」

その言葉にホッとする。

「じゃぁ、明日……」
「うん」

約束をして、それぞれ席に着くと委員会が始まった。
今日は一緒に帰れないのは残念だけど、明日は一緒だもんね。
残念な気持ちが顔に出ないよう、前向きに気持ちを切り替える。
委員会が終わり、龍輝君に一言声をかけようした。
しかし、龍輝君はスマホを見るなり慌てたように集会室を出て行ったのだ。



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