~LOVE GAME~
初恋の人……?
龍輝君を見上げると、気まずそうに目をそらされた。
「初恋の人と再会して付き合うなんてめっちゃロマンチックですよね~。私も恋愛してみたい」
凛ちゃんは手を組んでうっとりしたようにため息をついた。
恋愛してみたいって言った? あれ? 凛ちゃんは龍輝君の浮気相手では? いや、むしろ本命だったのでは?
私の頭が?マークで埋め尽くされているのに気が付いたのか、龍輝君が苦笑した。
「だから、楓の誤解だって言ったろ」
「えっと……?」
そもそも、バイト禁止なのにどうして家庭教師なんてしているの?
聞きたいことがありすぎて、整理がつかなくなってきた。
すると、突然ドーンという音と歓声があがった。
花火が始まり、この高台はちょうど良い位置にあるのか、大きくてとても綺麗だった。
「凛ちゃん、あっちでお母さんが手を振ってるよ」
「あ、もう行かなきゃ。じゃぁ、先生、彼女さん、さようなら」
凛ちゃんは礼儀正しく挨拶をして去っていった。
残されたのはポカンとしている私と苦笑気味の龍輝君。
首をかしげて見上げると、「ちゃんと説明させて」と言われた。
ゆっくり話したいからと連れて来られたのは、高台の先にある広場だった。
広場から花火は見えるが小さい。
高台の方がよく見えるため、人がおらず、私たちは周りを気にせずベンチに座れた。
「どういうことなの?」
「全部、楓の誤解なんだ。でも、そもそもそんな誤解をさせた俺のせいでもある」
龍輝君はゆっくり言葉を選ぶように話し出した。
「俺の母親は看護師でさ、近くの総合病院で働いているんだ。凛ちゃんはそこの患者」
「患者さんなの?」
元気そうな様子だったので、まさか病気を持っているなんて思わなかった。
「あぁ見えて、心臓が弱いんだ。小児科に入退院を繰り返している。彼女と会ったのは、楓と付き合いだしてすぐの頃。母親から凛ちゃんの家庭教師をしてくれないかって言われたんだ」
お母さんからの紹介で知り合ったのか……。
私は黙って先を促す。
「うちの高校がバイト禁止なのは知っていたから、そう言ったんだけどどうしてもって言われてこっそり始めたのがきっかけ。家庭教師なら家の中だし、そもそも個人で契約しているからばれにくいだろ?」
この二カ月で結構稼げたんだ、と笑う。
それに対して、むぅと口を尖らす。
「その分、ほおっておかれたけどね」
「それは本当に悪かったと思っている。楓に寂しい思いをさせるつもりはなかった」
そう謝って、私の手をギュッと握りしめる。