本当はずっとキミだけを…。
嘘…だよね…?
誰?あの人…
大輔くん、確か一人っ子だからお姉さんじゃないはず…
じゃあ、誰…?
大輔くんの彼女なの…?
一緒に住んでるの…?
何かの、間違い…だよね…?
そう思いたかったけど
その女の人の背中を軽くポンポンと撫でるように叩く仕草や
「ただいま」と微笑んだ笑顔が優しくて
「あっ…馬鹿みたい…」
あたしだけが、大輔くんを忘れられないでいただけなんだ…。
あたしだけが…。
ズタズタに引き裂かれた心のまま、その場に崩れ落ちた視線の先に
まるでストップモーションのように、ゆっくりと2人でドアの向こう側に消えていく姿が見えた…。
「う…そ…」
今にも消えてしまいそうな力の無い声は、いつの間にか降り出した雨音にかき消されて
あたしは1人…雨の中で身動きできないままうずくまっていた。