本当はずっとキミだけを…。
寒さと雨の冷たさで体がガタガタと小刻みに震え始めた。
涙が…止まらないよ…。
大輔くん…。
心の中で大輔くんの名前を何度も叫んだ。
けど、あの部屋から大輔くんが出てくる気配はなくて
ただ、大輔くんの部屋を眺めていることしかできない自分が惨めで堪らない…
「もうぉ…なにがなんだか…わからないよ…なにも…どうしたらいいかわからないょ…だいすけくん…」
太ももを握り拳で何度も叩いた時だった。
「…梨華ちゃん…」
「えっ…?」
不意に名前を呼ばれて振り返ると
「たかつ…くん?」
どうして…?
どうして…ここにいるの…?
いつの間にか、すぐ近くで悲しげな瞳で傘をさしてる高津くんが立っていた。