本当はずっとキミだけを…。

そう思うと、なんだか緊張してきて親指で通話ボタンを押した。


左耳に受話器を当てて聴こえてきた通話音が自分の鼓動と重なった。



『もしもし!梨華ちゃん?大丈夫?』


少し慌てたようなワントーン高い高津くんの声が受話器の向こうから響いてきた。

「あっ、うん。そう…ごめんね…心配かけて…」


『よかった…。熱は?もう下がった?』


「あ、うん。まだ…ちょっと熱いかな」


『ダメだよ。ちゃんと寝てなきゃ』



「クス…なんか、お母さんみたいだね、高津くん」



『えっ!?なんかショック…心配してるのに』



「ごめん。冗談だよ」


なんだろう…この感じ。緊張してたはずなのに高津くんの声聞いたら、なんか安心するっていうか落ち着くよ…。



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