本当はずっとキミだけを…。
数分後。「ごめん、待ったよね?」
両手に2人分のコカコーラや、ポップコーン。ポテトがのったトレイを抱えて戻ってきた高津くん。
「ギリギリでチケット買えたよ。よかった」
「なんの映画?」
そう聞くあたしに高津くんは「観てからのお楽しみ」とイジワルっぽく笑ってトレイを片手で持つと、あたしの手を握り締めて受付の人にチケットを渡して
目当ての映画が上映される5番スクリーンへと向かった。
「ねぇ、教えてよ」
何度そう言っても「だから秘密だって」と教えてくれない高津くん。
そうこうしている間に辺りは暗くなり、ポップコーンを食べる音やジュースを飲むストローの音やペチャクチャと話す人たちの話し声が聞こえなくなった代わりに
「手・・・・ずっと握っていていい?」
そう聞いてきた高津くんの真っ直ぐな瞳と、右手に感じる高津くんの手のぬくもりで心音がドクンドクンと波打つ音が高津くんに聴こえるかもしれないと思うと、頬が赤くなった。