本当はずっとキミだけを…。

「梨華・・・?」


後ろから名前を呼ばれて振り返った。



「大輔くん・・・」


どうしてここにいるんだと、信じられないような瞳の大輔くんが傘をさして立っていた。


「あ・・・・」


突然の大輔くんの登場に、心の準備が出来ていなかったあたしは「さ、さようなら」と小走りに駆け出した。



「待て!!」



腕を思いっきり大輔くんから掴まれた。
どうしてここにいるんだと聞いてくる大輔くんにあたしは



「ごめんなさい・・・一度だけ、後を追ってたら・・・その・・・・」



言葉に詰まりながら、あの日、大輔くんの後を追ってここに来た事を説明した。
大輔くんは、少しだけ驚いた表情をして黙って、あたしを責めることなく
ただ、黙ってあたしの話を聞いていた。


「それでね・・・あたし、見ちゃったんだ」


ここまできたら、もう、全部話すしかない。


大輔くんの、彼女のことも・・・・。







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