本当はずっとキミだけを…。
「佐伯の席はぁ…あそこだなぁ」
青ちゃんが、そう言って指差した場所は、あたしの窓側の席から遠い廊下側の席。
「はい」と静かに低い声で返事をした大輔くんは少しだけ顔を下に向けて、自分の席へと歩き出した。
大輔くんが歩く度、女の子達の視線が大輔くんを追うのが分かる。
そして大輔くんが座った席の隣は
長い綺麗な黒髪をサラリと耳にかけながらニコッと微笑む
クラスで、うぅん。校内1可愛いと評判の
石川 美貴ちゃん。
あっ…なんか2人で話してる…。なに話してるんだろう…?
あっ!大輔くんがニコッて笑ってる!!
───なんか…複雑だな…。
2人で、ニコニコしながら話す姿が、なんだか美男美女のお似合いのカップルに見えて
あたしの心臓は、ズキンズキンと痛んでいた…。