本当はずっとキミだけを…。
「ちょっと、待ってよ梨華ちゃん。どこ行くの?」
高津くんの腕を掴んだまま、あたしが向かった場所は誰もいない屋上だった。
屋上に着いたのと同時に高津くんの腕を掴んでいた手を放して、高津くんから少し距離を置いた。
「サムッ…寒くない?梨華ちゃん。秋風ピューピュー吹いてるよぅーー」
高津くんがマジで寒いんだけどと、両腕をさすっている。
確かにこの寒空の下に屋上に来るのは失敗だったかもしれない。
けど…それよりも…高津くんと2人きりで話したかったから…ここなら、誰もいないと思ったから。