月に祈りを

あっ…

わたしは顔をまた伏せる。

ゆーと目が合ってしまったから…

やっぱりつらい。
元カノを直視するのも二人を見るのも。

だって、わたしはこれから出会う人。
今ここに居るべきじゃない人。
居ちゃいけない人。

分かっているのに…

わたしは何食わぬ顔で、圏外になっている携帯を開く。

ー元カノなんていなきゃいいのに。
もしわたしが当時にいたら、絶対ゆーと付き合える自信あるもん!ー

くだんない送信メール。

メールボックスには友達からのメール。

ーあんたさ、考えすぎだよ!
元カノなんて所詮昔の人。
今ゆうとさんが想ってるのはあんたなんだから。ー

そんなの分かってる…
分かってるけどつらいんだよ…
思い出すだけで、わたしにとって初めてのことが多い相手でも、ゆーにとってはわたしはそうじゃないってことが。

なんか泣けてくる。

別のフォルダを開くと、

ーいつも泣かせてばっかでごめん。
でも俺こんなに人を好きになったことないから、
たまにどうすればいいのか分かんなくなる。

別れた方がいいのかな?-


ゆーのばか。
別れた方がいいのかなって何よ。
女の子はね、その分幸せにするからって。
お前じゃなきゃだめだって。
そう言ってほしいもんなのよ!
なんで分かってくれないのかな。
なんで分かってくれないの…
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