月に祈りを

涙と雨で画面が歪む。

だからわたしは祈ってたの。
ベランダから月を見るたびに。

"二人が出会う前に、時間を戻して"って。

元カノがゆーと付き合わなきゃいい。
わたしがゆーと付き合うって。

でもこんなのを見たいとは言ってないよ。
わたしは…わたしは…

ほんっとに最低…

「おーい!なんで泣いてんの?」

「あれ?こんな可愛い子うちの大学居たっけ?」

「ねー!なんて名前?学部どこ?」

「俺タイプ!付き合ってください!」

「さっきからグラウンド見てたよねー?好きな人でもいんの?」

練習が終わったばかりの部員からからかわれる。
余計涙が止まらない。
わたし最低。
なにやってんの、こんな場所で。
わたしのばか。

「おーい?聞いてる?」

誰かが肩に回してきて。

「いいかげ「いい加減にしろよ!」」

誰かと声が被った。

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