不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
プイッと顔を背けた。
機嫌の悪くなったあたしの、ささやかな抵抗。
口では勝てないから、こんな小さな抵抗をしてみせる。
でも……
「悪かったって……。頭、大丈夫か?」
そう言って顔を近づけ、教科書のカドが当たった頭を優しく撫でる。
「っ……///」
司先輩はズルい……
こんなことされて……
しかもこんな綺麗な顔で、優しく言われたら。
「……大丈夫です」
そうしか言い様がないじゃん。
「そっか、よかった」
――ドキッ
優しく笑いかける先輩を、ずっと見ていたい……
そんな気分になった。
「じゃあ、これからも手加減しねぇ―からな」
「……へ」
頭上から聞こえた、どす黒い声。
「テストまで後一週間もないんだ。気合い入れろよ?」
そう言ってニヤリと笑う先輩に「はい」と苦笑いで答えることしか出来なかった……
それからの日々は目が回りそうなくらい、早く進んでいった。
毎日放課後に司先輩のスパルタ授業を受け、ヘトヘトになりながら帰る……
そんな日々……
ただ、司先輩は毎日、あたしを家まで必ず送ってくれた。
そんな優しさに、また心が揺らいだ。